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カチャカチャ

パタパタ…


「おかえりなさいっ」


「おう、ただいま!すぐ着替えてくるから!あ、千夏もう用意できてる?」


「私はもういつでも行けるよ!」


「水着は?ちゃんと持った?」


「へ?お…泳ぐの?だ、だってもう夜だし、それに私っ…水着だなんて…」


誠さんの言葉に少し顔を赤らめながら俯く。


「…あははっ!ばーかっ、冗談だよ!」



白い歯を零しながら、私の髪をクシャッと撫でる。

その手は、もう遠慮がちに触れてはいない。


その笑顔はもう無理して作られてはいない。


誠さんが次第に、本当の自分を見せてくれているような気がして嬉しかった。



ネクタイを緩めながら寝室に入る誠さん。





でも…惹かれれば惹かれるほどに

今度は離れるのが怖くなっていた。