ザアアアアアーー…



何してんだろ…

私は何してんだろう…。



彼は千夏さんの恋人なのに…

彼が優しいのは私が千夏さんだからなのに。


私はただ自分のためだけに…此処にいるだけなのに。



なのに今

この胸から溢れる熱い想いは何…?


どうして…

どうしてこの手は彼を抱きしめてしまった…?


どうして…

彼の温もりを知ってしまった…?


どうして

どうして


どうして……



「…っあああああっ……!!」



そんなの分かってる。


ダメだって

そんな想いを抱いてはだめだって

自分の気持ちに気付いてたくせに

罪悪感を言い訳にして押し殺してきた。



降りしきる雨の中…愛しい人の名前を呼ぶ




「誠…さん…っ」




好きになっちゃいけない

求めてはいけない


その名前を呼んではいけないのに





「誠さん……っ」





抱いてはいけない想い


でもせめて

降りしきる雨の中

流されてしまってもいいから


その名を呼ぶことだけは許して…




「……っ……誠ぉっ……!!」





「千夏ーーーーーーーーーーーーーっ!!!」