「私も……」
「?」
気付けば口が動いていた。
「私も…そっち行ってもいい…?」
「千夏……」
薄いカーテンをギュッと握り締める。
何故か、もう少し一緒にいたい。
ただ、そう思った。
「…おいで…?」
誠さんはそう微笑むと、奥によけて、私の分のスペースを空けた。
私はゆっくりとカーテンから手を離し、誠さんの左に並ぶ。
誠さんはただ黙って煙草をふかし続けていた。
千夏さんの大好きだったマルボロを…。
私にはそれが、
誠さんが空にいる彼女に届くようにと…
そう願っているように思われて仕方なかった。
誠さんは…千夏さんが死ぬなんて知るわけがないのに。
これからもずっとずっと…傍にいれると思っているのに。