「どした…?」


少し驚いたように私の方に顔を向ける誠さん。

私を見つめたまま急いで煙をフゥッと吐き出す。


「あ…ごめん俺…何か起こしちゃった?」


「う、ううんっ、たまたま水飲もうと思ってこっち来たら窓が開いてて…」


「……そっか…」


澄んだ夏の空気の中に微かに浮かぶ誠さんの姿。

自らの吐いた煙の行き先を、切なげに視線で追う。



まるでその先に…

その空の先に…

本当に愛しい人がいることを知っているみたいに…。