「それに……千夏が俺のために料理作ってくれるなんて……いや、俺正直予想もしてなかったからさぁ!」


誠さんはわざと大口を開けて笑う。


「だからさっ…俺すんげぇ嬉しいんだ…千夏が俺のために…俺を喜ばそうってしてくれたことが…すんげぇ嬉しい…」


「誠さん……」


誠さんの言葉に出て来た『千夏』は『今の私』だ。


まさか私が誠さんのために何かをするなんて、そこまで心を開いているなんて思いもしなかったのだと思う。


少し照れ臭そうにご飯をかきこむ誠さんが愛おしかった。



伝わったかな…?

私が貴方の優しさに救われてること


伝わったかな…?



貴方が千夏さんに注いでいるはずの愛情は本当の千夏さんには届いていない。


けれど今此処にいる私には…

痛いほどに辛いほどに…苦しいほどに…届いてるよ…?



この笑顔は…

ねぇ…貴方のこの笑顔は…誰に向けられたものなのかなぁ…?


やっばり…やっぱり千夏さん…?


少しでいいから…本当の私に注がれたものだと

少しでいいから…信じていてもいいですか…?