「なっ…何言っ…」


頭がついていかない。

でもかろうじて、自分の思考が瞬時に止まったことは分かった。


なのに

体は全てを悟ったかのように小刻みに震え出す。

背中を何か冷たいものが駆け降りていく。

震える両手に視線を向ければ、指紋に沿ってうっすらと汗がにじんでいた。



「……わ…私は…死んでるって…こと?」


震える体を霧がなだめる。

私の心を読んだみたいに霧までもが悲しげに見えた。



「…えぇ。貴方は…死んでるの。」



悲しそうな目で私を見据える彼女。

彼女の指で静かに炎をくすぶらせる煙草が、微かな音を立てながらその長さを縮めていく。



「じゃあ…じゃあ…この体は…精神体っていうのは…まさか…」


彼女は瞬きもせず、私の問いから一呼吸置いて言い放った。




「…魂よ。」