……え……?


私の両眼は、確かに彼女の視線に射抜かれていた。

けれど、その視線の強さも感じられないほどに、私の意識何処かには飛んでしまっていた。


眼は彼女の方を向いてはいるものの、それは何の姿も捕らえてはおらず、もはや眼球としての機能の一切を放棄していた。


「ちょっ…えっ…なっ…死者が来る…ところって…?」


私は搾り出したかのような声を発した。


でも

その声を発した行為でさえも、自分の意志に従ってやったのかと問われれば

それは分からない。


体の表面だけが機能して、中身は空っぽになってしまったようだった。

硬直する私に、不思議そうな顔で彼女はこう言った。



「何も…貴方は何も覚えていないのね?」


……え………?


「自分が死んだことも覚えてないのね?」


……え……?



な…んだって……?



ワタシガ…………シンダ…?