一方的に実梨ちゃんは話し出す。

私は聞く気にも、応える気にもなれず

ただあいづちを打つ。

何分か歩き続けるとつい数ヶ月前は

見慣れていた実梨ちゃんの

家についた。

「はい、入って入って♪」

なんでそんなに楽しそうなの?

私本当の笑顔で笑えないよ。

実梨ちゃんのその笑顔は本物?

「お邪魔します」

人の気配がない。

親はいないようだ。

「部屋汚いからリビングでいー?

ごめんね!何飲むー?」

キッチンから声をかけられる。

「あ、なんでも。あるものでいいよ」

実梨ちゃんは二人分のオレンジジュース

を持ってくるとリビングのソファに

座った。

私も隣に腰を下ろす。

目の前のテーブルにパソコンが

置いてあり電源を入れた。

「私今ちょー韓流ハマってんの!」

そう言っていろんなPVを

見せられた。

アイドル系に興味のない私には

だいぶつまらない。

「やばいかっこいい!」

何時間もそういうものを見せられ

「かっこいいね」

そう言うと

「好きになんないでね。

私とかぶるし」

なんて言われた。

顔は笑ってたからふざけてる

のかな?と思ったけど

今の私には実梨ちゃんの心の中なんて

全くわからなかった。