秀と仲良くなったのは3年生。

1年生の時クラスは同じだったけど

私は秀になんの興味もなかった。

周りの女の子達は休み時間のたびに

私のクラスに来て、秀を見てる。

クラスが離れた友達も私に会いにくる

ふりをして本当は秀を見にきてる。

そんな秀が私は正直嫌いだった。

だから1年間、目もあわさずに他人を

やってきた。

話してみたいとかそういう感情も

全くなくて、向こうも私に話しかけて

くることなんか一切なかった。

私の中学は7クラスあったから

連続で同じクラスになるなんて

思ってもみなかったんだ。

2年生になってクラス替え表を見て

真っ先に探した名前。

〝西崎秀〟

自分でもなんでかわからなかった。

ただ嫌いなんだって思ってた。

小学生の頃習い事が同じだった女の子。

梶実梨(かじみのり)

実梨ちゃんとは1年生で同じクラスに

なって顔見知りだったためすぐ仲良く

なれた。

入学してまだ2週間もたたないうちに

実梨ちゃんは私に言ったんだ。

「私、西崎くんの事好き・・・かも」

西崎秀がモテているのを私だって

気づいていたから、特に驚くことも

なく、頑張ってねと言った。

実梨ちゃんは一途でそれから1年間

ずっと西崎秀を想いつづけた。

「たまには話しかけてみなよ」

私が言うと

「無理だよ!バカ」

即答される。

見てるだけで良いのか?

と思いながらもそれ以上何も

言わなかった。