「鈴音ちゃん、辛かったね」

そう言って頭を撫でてくれた彼女は

とても優しく微笑んだ。

誰なんだろう?

同い年なんだろうけど一度も

見たことがない。

いや、3年間同じ学校なのに

それはないか・・・。

お前、誰やねん。

「良い加減にしろよ!」

陸があまりにも大きな声で

怒鳴ったから体がビクついた。

陸を見上げると一方的に電話を

切っていた。

「陸・・・いいよ。私のために

ありがとう。ごめんね」

目をあわさずにケータイを受け取る。

「鈴音ちゃんごめんね。聞いたよ

拓真と付き合ってること。

最初はびっくりした。鈴音ちゃん

あの西崎と付き合ってるの知ってたから」

「あたし、最低なの・・・」

「拓真のが最低だ」

陸の目は笑ってなかった。

「私、誰にも言わないから

安心してね」

頭をなでてくれた彼女が言った。

「あの、あなたは?」

こんな綺麗な子いたっけ?

「あ、こいつ俺の彼女!鈴音ちゃんと

保健室いたときに急に来たケバ女!」

「ケバいのは前の話でしょ!」

・・・きょとん。

目が点になった。

いやいや嘘だよ、だって顔全然

違いますよ?

「柊南音(ヒイラギナオ)です♪」

この人こんなにかわいかったんだ。