「はぁ~・・・」

ふと思う。

〈好きなんじゃないの?〉

ははは、そんな馬鹿な。

良いや、教室戻ろう。

給食だけ食べて戻って来よう。

私は保健室を出た。

――ガラッ

「うわっ!」

びっくりした。ドアを開けると、すぐ隣の

壁に秀が寄りかかっていた。

「ど、どしたの?」

「鈴音が保健室いるって、さっき竜歩が

言ってたから。心配で見に来た」

なんだろう。ありがとう、の

はずなんだけど、なんかすっごく・・・。

「怒ってみえます」

「怒ってますから」

秒殺。

「今の電話、誰?」

やっぱり聞かれてたんだ・・・。

「友達だよ」

「女の子?」

「うん」

「拓真ちゃん?」

ぶっ。

「秀・・・ごめん」

「なんのごめん?」

「他の男の子と電話しちゃってのごめん」

「俺、別に電話してるからって怒らないよ。

ただ、鈴音が俺との電話より楽しそうに

見えて、拓真ってヤツに嫉妬してた」

そう言って拗ねる秀は、かっこいいくせに

かわいかった。

「秀ーーー」

私は秀に抱きついた。

大丈夫!ちゃんと秀を愛しいって

思えてるぞ。

拓真は友達。絶対。きっと。多分。