私の事は忘れて下さい。娘もまだ小さいので、私の事も余り、覚えていないと思います。私が死んだら、また良い人を見つけて、家族三人で幸せに暮らしてくだ・・・・…・…・・…・…・・…・…・・…・…・・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・僕は、その手紙を強く握りしめ、最後まで読まず、しわくちゃにした。
「ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなよーーーーーーー」
僕は、その場で叫んだ。今までこんなに叫んだことは一度もなかった。それに、憎悪というべきか、むかついた。心の底からむかついた。今ならば、非常になれる。それほどまで、腹の中が煮え切りまくっていた。何が、良い人を見つけて下さいだと。ふざけるな、ふざけるなよ。お前以外いねぇよ。娘にとってもだ、お前がお腹を痛めて、産んだ子供だぞ、お前を忘れるはずがない。そんなこと、自分が一番わかってるんだろ。僕は涙が溢れてきた。そういう手紙を書くなんて、本当にしんどかったんだろうなと。只のインフルエンザだから、大丈夫だと思っていた。自分の認識不足を恨んだ。心の奥底から恨んだ。どうして、気付いてやれなかっただろう。もっと、生活に気をつけていたならば、こんな事にはなっていなかったんでは、僕の脳裏に後悔が生れ続けてきた。ベルトコンベアで生産しているかのように、人間はなんて不平等なんだ。病気で助かる人がいれば、死ぬ人もいる。金持ちの人がいれば、貧乏の人もいる。仕事がある人もいれば、ニートも存在する。