「驚いた?小学生の時、猛特訓したから、涙は、自由自在に流せるからね私。」



私の涙に感情は無い。




そんな涙を信じる世間が馬鹿なのだ。




「つまんないなー、熱血刑事の美佳。面白かったのに。」




からかいがいの無い私に姉は、残念そうな表情を見せた。




いつもの非常口。




何故か心に悲しみが宿る。



うっとうしい親父だと思ってたはずなのになー。




それでも消えない空虚さ。



佐藤刑事、




あなたの存在は、私にとって大きかったみたいです。



その人が死んで、初めてその人の大切さを知る。



居なくならなければ気付かないなんて、私の心は、相当鈍感になっているようだ。




空を見上げる。




この空の彼方に佐藤刑事が居る。




柄にもなく、そんな幼稚なことを考えていた。