日和くんを起こす事を諦めて斜め右のソファに座りなおした。

買って貰った服をキレイにたたんで重ねるついでに着替えも済ませた。

ガチャ。

「あ・・・。」

鈴くん・・・?だっけ。

サングラスをかけて真っ黒いTシャツにダメージのジーンズを履き、ゴツイブーツを履いた鈴くん。
鈴くんが歩くとウォレットチェーンやアクセサリーのシルバーがじゃらじゃらと音を立てる。
両手に持っていた紙袋を机の上に置き、私の目の前のソファにどかりと腰かけた。

「お前、腹へられーの?」

「おなか?・・・すいた。」

ん。とアゴで紙袋を指しながらサングラスを取る。

これ・・・買ってきてくれたのかな・・・。
すっごい量・・・。

2つある紙袋の1つはパンやおにぎり、それにお茶にジュース。
下の方にはパスタが3種類。
コンビニにあるようなパンじゃなくて、有名パン屋さんのパンにパスタはデリバリーっぽい。

あったかいパスタに食欲をそそられながら少し背の低いもう1つの紙袋を見る。

「わぁ。」

「なんだよ。」

「鈴くん・・・これって私よう??」

「そうだけど。女は好きなんだろ?甘いもん。」

そう言うと携帯をつつきだす。

もう1つの紙袋には色んなお店のケーキ箱が乱雑に入れてあり、1つ1つの箱の中身はおいしそうなケーキやプリンやドーナッツ。

みんなで食べても余りそうなこの量になんだか笑いが出た。

「鈴くんも、買いすぎだよ。」

「あ??“も”ってなんだよ。わかんねーんだよ。何が食べてーとか。好きなもんだけ食べろよ。」

そういうとまた携帯に視線を戻す鈴くんにお礼を言ってパスタを一皿空けた。

食べながら昨日、買い物に連れて行ってくれた時にあった面白い事を鈴くんに話した。
聞いてくれているか分からなかったけど、たまに“災難だな”とか“バカなんだよ。”とか少し笑いながら答えてくれる鈴くんが嬉しかった。