一緒にベッドに寝転がって居たはずなのに、起きたら日和くんはソファでねていた。
今、何時だろ・・・。
部屋の中に時計を探したけど見当たらない。
ベッドの脇に隠すように置いていた鞄に気付き、やっと携帯の存在を思い出す。
焦って鞄を探る。
5分以内にかけなおさないと・・・
おにいちゃんに・・・!!
鞄の中を探しても携帯が見当たらない。
ベッドの上に中身をひっくり返しても出てこない。
早く!早く見つけないと!また、叩かれる!!・・・
・・・。
あ、そっか・・・。
今はあの場所じゃないんだ・・・。
夢現な寝起きに一瞬パニックになったものの、自分の置かれている状況を思い出した。
日和くんが起きていない事を確認しつつ、急いで鞄のなかにぶちまけた物をしまう。
もう1度探してみても携帯は見付からない。
・・・失くした??
たかが携帯。
だけど、昨日より格段に心が軽くなった。
何にも縛られていない。
自分が本当の自由を手に入れたような感覚。
日差しの差し込む窓際に立ち、そっとカーテンを開けてみる。
それが昼を象徴する太陽の輝きではなく、夜に向かって陰ていく太陽の輝きだと気付く。