「捜索願はまだ出てない。学校の方は」入院ってなってる。ただ・・・ネコが長期の入院をしだしたのが中学3年生の時からなんだよな。それまではわりと自由に育ってたらしいんだけど、その時期からは送り迎えが必ず付くようになったらしい。」

「・・・そうか・・・。」

「あ、日和!出たよ!!」

春季が薄型のノートPCを持ってくる。
全員がそのPCを覗き込んだ。

“葉月財閥会長・夫人共に刺殺”
“怨恨の疑いあり 犯人未だ分からず”

4年前のこの時期の記事を次々と勝手にアップしていく最新のPCに釘付けになる。

刺殺・・・
未だに捕まっていない犯人。

ガチャ。

ドアの開く音に響が反応し、俺はPCを閉じた。

髪の毛を乾かされているネコは若干緊張しながらそれでも気持ちよさそうに笑顔で響や秋季や春季と会話をしている。

元気に見えて疲れきってるであろう3人はネコの髪の毛が乾くとすぐに帰っていった。

いやに張り詰める2人だけの空気。

丈の短いパジャマから伸びる足は細っこくて小さい。
真っ白な肌に、足首にもうっすらと見える拘束の痕。

「おいっ。」

びくっと肩が揺れたネコがこっちを振り向く。
口を一文字に紡いで何か緊張した面持ちで。