タキシード姿で口々にごちゃごちゃ喋りながら部屋に入ってきた3人。

「手なんかだしてねーよ。」

秋季を睨みながら言うも、こいつらには俺の脅しは効かない事はよく知っている。

「日和。さっきからなんか鳴ってね??」

そう言われてベッドサイドを見ると、液晶には風呂のお湯がはれた事が表示してある。

アラームに気付かなかった・・・。

少しの時間と思っていた、ネコの観察は、思いのほか長かったらしい。
それに・・・アラームに気付かないほど夢中だったらしい。

「ふっ。」

「あ。日和がまた笑った。」

響が面白そうに笑う。

「俺、風呂はいってくるから。」

「おぅ。」

短い返事をして、ドアを閉める俺に手を上げる響。

俺も軽く手を上げて脱衣所に入った。

どこかのホテルのスウィートと同じ作りの脱衣所と洗面台。
浴室に入れば一変して和の雰囲気になる。

前面が檜で作られた贅沢な浴室で一呼吸する。
檜の匂いと張ったばかりのお湯の匂いで体から眠気が抜けていくのが分かる。

俺の体が悠に入る檜の浴槽に思いっきり浸かると疲れがにじみ出るのが分かる。


ネコ・・・。

分からない事だらけの拾い物。
それに興味がそそられるのは必然だろう。

肩まで浸かり天井を見上げると天窓から見えるのは満月。

ネコ・・・。
ちいせーし、肌とか白いし・・・
イメージは白猫。

「ふっ。」

にゃーにゃー鳴く所を想像すれば笑えた。