僕はそれ以上は見なかった。遥ちゃんが翔一に渡した物だから僕は見てはいけないと思った。
どうやら翔一に後から聞いてみたら手紙が入っていたらしい。
でもあの袋の中身を開けてからずっと翔一の態度がおかしい。
「翔一?どうしたの?」
「聡。お前知っていたのか?」
なんか翔一の表情が怖い。
「知っていたって何を?」
「佐々木がいじめられている事だよ!」
「えっ?…。」
知っていた。遥ちゃんはホントに真面目で、でも勉強ばかりしているせいかあまり運動など身体つきはよくなく、どちらかというとガリガリに近い体型で周りの女子から避けられていた。友達もほぼいなかった。
もちろん、女子だけでなく男子も、
「アイツ気持ち悪い。」
とか、
「ガリ勉女。」とかずいぶんひどい事を言っている人もいる。
僕は知っていたのだけど、見て見ぬふりをしていた。
「俺、人をいじめたりするヤツが一番許せない!」
翔一のこぶしを見た。今にも誰かに飛んでいきそうなぐらい迫力がある。
「で、でもどうして?」
すると、翔一がさっき遥ちゃんからもらった手紙を渡された。