「翔一。ごめん。僕、見て見ぬふり今までしてた。遥ちゃんの事。」


「聡。見て見ぬふりする第三者が一番ひどい罪やで。聡がそんな人とは思わんかった。」


「ごめん。僕、翔一はすごいと思う。」


「すごくない。俺はただ、いじめっていうの一番嫌いやねん。弱いものをいたぶって何が楽しい?
信じられん。俺も昔いじめられてたから。」


「えっ?翔一が?」

「そう。今はこんなんやけど、俺いつも強がってるだけ。ホントはめちゃめちゃネガティブ思考だし。それに弱い自分を見せたくないという変なプライドもあるし。」


翔一はホントすごいなと思った。自分の良いところも悪いところもしっかり認めている。

僕は今までそんな事考えた事も無かった。


何かあるとすぐ人のせいにしたり、人の悪口を言ったりもしてきた。それに男として、いや人間として情けないと思った。


こんなんでホントに菜々が守れるのか?自分は菜々の存在に甘えていただけじゃないか?と。


「なぁ。聡。今日、ちょっと俺に付き合ってくれないか?」


翔一に誘われた。


「うん。」


なんか翔一を今まで見かけで判断していたけど、これからはそういう事はもうやめようと心に誓った。


翔一からたくさんの事を今日一日で学んだ。


中原 翔一。


もしかするとまだまだ謎の裏に何かあるのかも?