『・・・・』



(ちっ・・・ こいつ初めて女に惚れてトチ狂ってやがんな・・・)



まあ いい



とにかく

青山と

どうなったか

また教えてくれや



『はい・・・』



うつむいたまま

トシキは答えた



そういや お前

バイトはどうなったんだ?



『少し前に・・・一度だけ休んだら、もう来なくていいって言われてしまいました・・・。今新しいバイト探してるんですけど・・・』




なんだよ それ

最悪だな



『はい・・・』



じゃあ今金もねえんだろ?



『はい・・・』



これ・・・とりあえず

とっとけ



これで少しくらいは

生活できるだろ?



シュンイチは

財布から

一万円札を

数枚取り出して

そのまま

トシキの前に

置いた



『ありがとう・・・ございます』

トシキは素直にそれを受け取り

ジャンパーのポケットに

押し込んだ



で 話変わるんだけどよ



シュンイチは

周りを見回して

少し声をひそめた



『はい・・・』



トシキも

声をひそめた



長年のつきあいで

雰囲気を瞬時に

察しとった



近いうちにな

ちょっと

会っておいて欲しい

人がいるんだよ



『はい・・・』