そして

わたしの意識は

否応なく

現実世界に

引き戻されていく



わたしは

指を動かし

手を動かし

足を動かし

自分が

意識だけの

存在ではないことを

確認する



少しずつ

感覚が

現実世界に

適応していく



汗でぐっしょりになった

パジャマのまま

キッチンへ向かい

ミネラルウォーターで

喉を一気に潤す



やっと

生きている感覚が

戻ってきた



わたしは

冷静に

さっきの夢を

思い返す



背筋が凍るような

恐怖だったけど

いつもの悪夢とは

違った



特に

トシキ君が

出てきたのが

気になる・・・



「神は人々に乗り越えられる試練しか与えないのです」



神父さまの

声が

リアルに

わたしの

鼓膜の奥に

残っている



わたしは

もう一度

トシキ君と

ちゃんと

話をしなければ

ならない



まだ薄暗い時間に

わたしは

そう

決意した