わたしは

すべての

思考を

停止する



わたしを

取り込もうとする

なにかに

すべてを

あずけてしまう



それは

恐怖よりも

どこか

安堵にも似た

気持ち



そして

わたしの

すべてが

飲み込まれようと

する

その瞬間



一気に

視界が

開ける



前後左右と上下

すべての闇が

激しい衝撃を受けた

ガラスのように

粉々になって

散っていく



闇に代わって

出てくるのは

いつもの

悪夢で見なれた

どろどろとした

得体の知れない

生き物



そこには

お父さんと

お母さんと

千晶と

トシキ君の

存在が

含まれているのが

わたしには

わかっている



わたしは

彼らを

取り戻そうと

手を伸ばす



その手は

どろどろの中へ

吸い込まれていく



やがて

いつものように

意識が

混濁し始める