このファイルを渡されたのは

昨日のことだった





いつものように

仕事を終えて

そろそろ

帰ろうかと思ったとき

上司にあたる

鈴木から

呼び止められた



「青山さん」



はい



「ちょっと悪いんだけど、この仕事青山さんが担当してくれないかしら」



はい どんな仕事ですか?



「このファイルの子なんだけど・・・」



はい



「児童施設で育ってて、傷害事件での補導歴があるのよ」



はい



「で 保護司の人がいたんだけど、高齢で身体の調子がよくないらしくって 続けられなくなってしまったらしいのよ」



そうなんですか・・・



「なので当面の間 うちの誰かがその保護司さんの代理として彼とコンタクトをとっておいて欲しい っていう社会福祉協議会からの依頼なのよ」



なるほど



「なので まずはそのファイルをよく読んで彼のバックグランドをしっかり理解しておいてね」



わかりました



このことが

ヨウコを

悪夢のような出来事に

巻きこんでいこうとは

まったく思いもしていなかった