「ここは…。」

見渡す限りの木。

と、いうよりも林?
いや、森というべきか…。
「なんだよこれ…。」

俺は何が起こったのか理解できなかった。

家でTVを見ていたはずなのに…

ここはどこなんだ…

俺は細い獣道を歩いた。
蜘蛛の巣を手で払いながら前に進んだ。

やがて木々の間隔が広くなり目の前が開けた。

「なんじゃこりゃ…。」

袴姿の男性、着物を羽織った女性が歩いていた。

「おいおい、まさかのタイムスリップ?」

俺は信じられないながらも話しかけた。

「ちょい、すいません。いまって何年ですかね?」

「はぁ?あんた何言うてんのや。
いまは天正10年やろ。」

「天正10年? 天正10年ってことは織田信長が暗殺された年だ!
うまくやれば歴史を変えられる!」

そう言った瞬間、横にいた武士らしき者が腰にぶら下げていた刀を抜いた。

「いま、信長と申したな? お主、奇妙な格好もしておるし…」

「ちょ、ちょっと待って…」

「切り捨て御免!」

次の瞬間、刀が降り下ろされ、俺は首を斬られた。

俺は歴史を変えることはできなかった。


〜終わり〜