冷たい風に打たれて



「お宅までお送り致します。」

黒スーツの男性がイヤホンに付いていた無線でそれを伝えると黒塗りのスモークの張られたベンツが横に止まった


「神谷、別にこんなにしてくれなくても私にはちゃんと歩く為の足はついているわ。」

「身勝手な行動は慎み下さい。さあ、どうぞ。」


風華はまた溜め息をつくと仕方なく車に乗り込んだ


「明日は、学校へ行ってもいいの?」

「風華様にしては珍しいですね。学校という言葉が出てくるとは…」


「いいから。明日の予定は?」

「明日はお昼に環境省大臣と会食の予定が入っております。」

「また?」


「なにやら、東北地方の農作物がここ最近の天気の悪さで被害が拡大しそうだとの事です。」