冷たい風に打たれて




笑ったのはいつぶりだろう


ふと歩きながら風華は考えていた


両親が亡くなってもうじき三年が経つ


「風華様。突然居なくならないで下さい。」

黒いスーツを着た男性が息を切らせて風華の肩を叩いた


すぐにさっきとは打って変わって無表情になる

「わかったわ。でも、四六時中追いかけ回されたらこっちだって嫌になるわ。」


「しかし、風華様は一之瀬の後継者で貴方一人しかもういないのです。」

そんな事言われなくても分かってる…

両親はおろか親族ももう誰一人としていないのだから