冷たい風に打たれて



二人はホテルを後にして車に乗る

「遅くなってしまいましたね。すみませんでした。柄にもなく話し過ぎてしまいまして。」


「いいえ。楽しかったわ。神谷の事を知れて。」



「それに…そうゆう時はすみません、ではなくて、ありがとう。よ。友達からの受け売りだけど。」



――それに、ごめん。じゃなくて、ありがとう。だよ――


風華は水樹が言っていた事を思い出し、無意識に微笑む


「ありがとう…ですか。なんだか、 いいですね。」


「ふふふっ。でしょ?謝るよりお礼を言うとなんだか縮こまっていたのが、ホッとする感じが。」


「はい。何故か心が違いますね。」


「でしょ!」



「私は風華様の警備で本当に良かったです。」


「いつもはこんな、なのに?」

風華は後部座席を乗り出してわざと眉毛を釣り上げた


「ええ。それはそうですね。」


「そこは、違う…とは言えないでも、そこまでヒドくはありません!とか言うものよ?」


「そうですね。失礼致しました。」

バックミラー越しに目を合わせる


「はははっ!!」
「ふふふっ!!」




しばらくすると車は風華のマンションに到着した


「風華様、本日はお付き合いして頂き…ありがとうございました。」


「神谷。私こそ、ありがとう。楽しかったわ。」


「では、また明日早朝にお迎えにあがります。おやすみなさいませ。」


「おやすみ。」

風華はマンションの中へと入って行った






その姿が消えるまで神谷は見つめていた




それは


切なくもあり


苦しくもある




それでいて




愛おしそうな





眼差しだった