「じゃ、ちょっと早いけど行こっか。」

そう言ってにっこり笑いながら、座っている私の手を引いた。

―…少し小さくて、温かい手…。

どのくらい握り返せばよいのか、それとも握り返してはいけないのか、力加減が分からない。

―…あ。



しくじった。



ヒール履いてくるんじゃなかった…。


爽は、小さい。

私より、だが。

私が高すぎるのもあるし、爽も低い方だろう。

―…可愛い、とか、やっぱ思っちゃいけないのかな…。

でもやっぱ……



可愛い…ッ!



「更莉ちゃんって、さ。」

「は、はい!いや、えと、な、何?」

「彼氏とか、好きな人とか、いる?」