"…あのさ、今度の日曜、空いてる?"



思い出すだけでドキドキしてしまう。


あの日の電話。

後半の、会話。



"良かったら、遊園地行かない?"

断る理由なんて、無かった。

今日は日曜。
見事に晴れ、風は心地よく吹き抜ける。

「ごめん、待った?」

そう言って、私の目の前に現れたのは、吉岡爽。

息を切らしている。

…私の姿が見えて、それで、急いで…?

「ううん!私が早く来すぎちゃっただけだよ!」

実際、時間までまだ10分余りある。

更莉は、大人気アイドルを待たせるのはしのびないという気持ちと、どうしてもはやる気持ちから、30分前には来てしまったのだ。

だが、あまり時間を感じることはなかった。

緊張している間に…

そして、思い返している間に、時間なんてあっという間に過ぎてしまった。