「せっかくロミオやったんだしさ!それに、ロミオの更梨ちゃんと踊りたい女の子、たくさんいると思うよ。」

そんな、可愛い笑顔で言われても…

確かに、それなら"吉岡紗和"と踊れる。



でも





私は、"女の子"として…





"男の子"の"吉岡爽"と
踊りたかった。





「ほら、もう始まっちゃうよ!」

そう言って、爽は私の手を強く引いた。


初めてのデートのときみたいに。





私は輪に入れられ、友達や、知らない女の子たちと踊る。

一年生だろうか…?
本当に喜んでくれている女の子もいて、少し複雑な気持ちにもなった。





ふと隣を見ると、爽と戸山くんが踊っていた。



━いいなぁ、戸山くん…

"男"として、
好きな子と踊れて。



…少し照れ、嬉しそうな戸山くんを思うと、可哀想にも思えるけれど。





そして、
私に"吉岡紗和"が
回ってきた。