私は彼女に駆け寄った。

これが舞台の上ならば、絵になるシーンだったに違いない。

「大丈夫?小松原さん!どうしたの!?」

「う…ごめんなさい…」

本当に具合が悪そうだ。

「緊張しすぎて…気持ち…悪く…」

「分かった!大丈夫だよ、もう喋んなくていいから!」



私たちは、小松原さんを保健室まで連れていった。

彼女は最後まで謝っていた。






「どうするんだよ、ジュリエット…。」

ある男子が言った。

「やっぱ、あみだは駄目だったのかな…。」

ある女子が言った。

「今の問題は、ジュリエット役をどうするかだろ!?」

戸山くんが言った。

そして続ける。

「代役を立てるにしても、大体みんな、何かしらにはまってるし…。」

「あッ!!適役がいるじゃん!」

いきなり裕恵が口を開いた。

「えッ?誰!?」