「吉岡爽、って言うんだけど……」

彼は、少し声を潜めて言った。

私の目の前に座っている……。

―これっていゆわる、ドッキリってヤツ…!?お母さんも仕掛人?いや、だとしたら、何で私が?縁も無いのに……。

「更莉ちゃん、って呼んでいい?」

私はハッとして、素早く頷いた。
コクコクと。

「知ってるかもしれないけど、僕、更莉ちゃんの、イトコなんだ。
僕の母さんの旧姓が、木田。
そう、更莉ちゃんの、お父さんの、妹。」

それは、知っていた。

ただ、そのイトコの男の子が"吉岡爽"だということは、つい最近まで知らなかったのだ。

「どうして、私のこと…?」

素朴に疑問。

「年賀状、いつも家族写真でしょ?
それ見たことあって。
僕の父さんは兄弟いないから、イトコって更莉ちゃんだけなんだ。
で、ご飯食べに来たら、その写真のコが居たから…。
違ったらどうしようと思ったんだけど、ちょっと思い切って。」

妙に説得力がある。
純粋な笑顔に、思わず心音が高鳴る。