「ふーん。なんで?」

カバンを足元に置いて水道の枠に腰掛ける彼女のスカートが濡れるのもお構いなしに水を出す。

ぬるいを通り越して熱い。

水じゃなくてお湯だな、これは。

「なんでって……」

彼女も濡れるのを気にしていないようで、流れるお湯を見つめている。

「水色はみずみずしい空だから好きなの」

「……は?」

ごめんね、私頭悪いの。
まったく意味がわからない。

彼女がストンと水道の枠からおりると、やっと水と呼べるようになった、元お湯をすくった。