意識して発した言葉ではない。
なぜ彼の名前を呼んだのかも分からない。
そして…、
「安西?!」
なぜアタシが求めた彼が
此処に居るのかも…。
ただひたすら卓也に抵抗して、
彼が卓也を蹴り飛ばした。
「お前、まだ…」
「好きだ!」
この場に不釣り合いな言葉で
卓也の声を遮った彼。
世界中の時が止まったように思えた。
「安西の過去なんてどうでもいい。これからと最後が大事なんだ…!お前には分かんねぇよ。」
栗原くん………
そして
「お前何言ってんだ?本物のバカだな…」
止まっていた時間が
「何を言われたって構わない。」
動き出す……
「俺が安西を好きだって事実は変わらない」
涙が
「安西…!」
「はい」
頬を伝う─────。
「俺の女になれ」

