その笑顔を母は一度もアタシに 向けてはくれなかった。 母はウチに居ても何もせず、 父が仕事と家事をしていた。 その父が一昨年、過労死をしてから 母はやりたい放題。 毎晩別の男をウチにつれ込み 体を重ねてはアタシに、 「ママはもう出ていくから、これで頑張って。」 と、茶封筒に入った厚く何枚も重なった 福澤諭吉を渡して出ていった。