信じられないものを見て、一瞬何が起こっているのか理解できなかった。

思わず手を持ち上げると、痛みが走った。

その痛みで始めて、自分が傷付けられていることに気付いた。

何で?

ナイフは自身の重みのせいで、手のひらから抜け落ちた。

アスファルトに当たって、カランと音を立てる。

じんわりと傷口から血がにじみ出してきた。眺めているうちに、それはすぐに紅い塊になって、つっと手首を伝って流れ出した。

腕を下げると、今度は指先を伝って血が流れ落ちた。

鼓動に押し出されるように、アスファルトの上に、ぼたぼたと落ちていく。