シルバーブラッド 眠らぬ夜に

「・・・うそ」

「うそって、何が?」

「英樹がそんなこと」

 浩之は、椅子の背に、体をもたれさせた。

少し砕けた姿勢。

そういうポーズは、浩之の、女性的な色っぽさを最大限に引き出してしまう。

そのまま、艶然と微笑む。

彼女は、瞬間浩之に見惚れて、ハッと我に返った。

「英樹がそんなことするわけない!!」

浩之は、期待した通りの彼女の反応に、満足そうに微笑み返した。

「同じこと、母親も思ったと思うよ。

ただし、自分のその目であいつがやった証拠を見なければね」

 浩之はカップを手に取る。

 紅茶の流れた食道が、水分を渇望している。

 紅茶って、飲めば飲むほど、喉が渇く。

「証拠?」

 浩之は、カップをあおった。