オレを、ガラスの割れた窓の枠に、荷物を縛るビニールテープでぐるぐるに巻きつけた。
それから、オレの周りに灯油をぶちまけた。
それが、あいつのやった最後のことだ。
あいつは、そのまま出てっちゃったんだ」
目をそらせることが出来ないらしい彼女の前で、浩之は片手で頬杖を付く。
「あいつは、火をつけるものを探しに行って、面倒臭くなったか、目的を忘れたかして、そのまま出て行ったんだ。
けど、オレはその時十二だった。
兄貴が今にも戻って来て、そしたら一間の終わりだと思った。
もしかしたら、兄貴が戻って来なくても、灯油は、自然発火するのかもしれないって真剣に考えた。
お陰でオレは母親が見つけてくれるまでに、死ぬほどの恐怖を味わった」
それから、オレの周りに灯油をぶちまけた。
それが、あいつのやった最後のことだ。
あいつは、そのまま出てっちゃったんだ」
目をそらせることが出来ないらしい彼女の前で、浩之は片手で頬杖を付く。
「あいつは、火をつけるものを探しに行って、面倒臭くなったか、目的を忘れたかして、そのまま出て行ったんだ。
けど、オレはその時十二だった。
兄貴が今にも戻って来て、そしたら一間の終わりだと思った。
もしかしたら、兄貴が戻って来なくても、灯油は、自然発火するのかもしれないって真剣に考えた。
お陰でオレは母親が見つけてくれるまでに、死ぬほどの恐怖を味わった」

