シルバーブラッド 眠らぬ夜に

浩之はそいつに向かって苦く笑ってやった。

「そんなに知りたいんなら、教えてあげるよ。

あいつが、いなくなる直前にしたこと。

何だと思う?」

彼女は、期待に顔を輝かせる。

オレは、その顔に、ニッコリと微笑む。

「オレを焼き殺そうとした」

 彼女が驚いて、目をみひらく。

その視線の先で、浩之は微笑んだまま。

「その直前は、オレが作り上げたばかりのプラモデルを、壊そうとしてた。

オレが悲しむのを見たかったんだよ。

でも、あいつは頭が異様にいいくせに、バカだった。

壊す方法の選択を誤った。

プラモデルを、窓ガラスに投げつけちゃったんだ。

壊そうとしたプラモデルも壊れちゃったけど、窓ガラスまで割れてしまった。

オレ以外の人間の前では、もちろん両親の前でもいい子ちゃんだったから、ヤツは慌てたよ。

窓ガラスを割ったしまったなんて、誰にも知られるわけにはいかなかった。

だから、それを見ていたオレを、口封じのために殺すことにしたんだ。