実家には薪がたくさんあったので、風呂は薪で沸かしていた。

今は、ガスだきの風呂に変わってしまったが、薪で沸かしていた当時、それは浩之の仕事だった。

お小遣い増額のための手段だった。

英樹の方は、ろくに勉強もしないくせに成績が良かったので、その、よい成績をキープするだけでお小遣いが増額された。
 
だから、風呂たきは浩之だけの手段だった。
 
英樹は薪に触れたこともないに違いない。
 
でも悔しいとは微塵も感じなかった。
 
浩之は、この作業が好きだった。

薪を火が燃え付きやすいようにきれいに組む。

炊きつけ用の燃えやすい木を最小限に使って、丸めた新聞紙で火をつける。