ぐはっと、嫌なうめき声が響く。

蹴りは劇的に利いたらしく、男は静かになった。

いや、静かに呻いているというか。

『まあいい、この隙に、できるだけ遠くへ逃げよう』

浩之は靴と、ドアにフックで引っ掛けてある車のキーを引っ掴むと、裸足で部屋を飛び出した。