瑠唯は何の気なしに言ってても…。
「瑠唯様…、見損ないました………!」
ハンカチを涙ぐむ瞳に当てて、ドラマのヒロインさながらに涙を流して廊下を走り去ってしまった。
後ろを友達らしき女の子たちが追いかける。
「…また派手にやらかしてくれたねー」
「本当ですね…」
遠巻きに見ていた美咲と椿ちゃんがこっちにきた。
「それでまぁ…お熱いこと」
「えっ?」
美咲がチラッと見た視線の先には、あたしの肩を抱く瑠唯の手があった。
「なっ…何もない!
何もないからね!!!」
あたしは顔を真っ赤にしながら瑠唯の手をどけて否定した。
「姉と弟の禁断の恋~?
そそるねー♪」
「“禁断の恋”って響きがいいですよね♪」
…椿ちゃんまで………
「ほらー、お前ら。
さっさと席つけよー」
担任が教室にきたおかげで、この騒動は一段落ついた。
「…みーやーびー」
「なに?陸」
数学の時間、話しかけてきたのは陸だった。
芹沢陸(セリサワリク)、あたしの幼なじみ。
もう物心ついた時から、ずっと一緒。

