アタシの弟。




「…言ったわね。
私たち、あなたのためを思って場所を変えましょうって言ったのに、ムダだったようね」

「そりゃムダなお気遣い、どーも」



あたしは下敷きでうちわ代わりに扇ぎながら、言ってやった。



「…ムカつくのよ。
その生意気な態度………」



あら?


どうくるのでしょう。



「あんたなんか…、大っ嫌い………!」



うわっ!!!


叩かれる………!


そう思ったあたしは、反射的に目をつぶった。



━━…バシっ!



痛っ!!!


…って、痛くない………?


なんで……………



「…瑠…唯………?」



目をあけると、そこにいたのは瑠唯だった。


あたしを叩こうとした女の右手を掴んでいる。


…なに………?


このめちゃくちゃベタな状況は…



「オレの雅。
殴ろうとするって、どーゆーこと?」



あたしを叩こうとした子の手を持ったまま、瑠唯が言った。



「“オレの雅”…、どういう意味です?」



おぉ!


お前、許す気ないけどナイスだよ!!!


…マジでどういう意味………?