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「――…あれが王国か」


白銀の髪の少年が呟く。


 少年が立っている場所は王国が見える崖の上。
崖を降りれば王国まで一直線だ。


「…前とは随分と雰囲気が違うな…前はもっと明るくていい所だったのに」


 少年の後ろに居た青年が言う。

 青年の言う通り、王国の雰囲気はとても禍々しく黒く厚い雲が王国を覆っていた。


「――…悪かったな、キルテ…本当なら王国まで直ぐに行けたはずだったんだけど…」

「別に構わねぇよ。それに王国に着いた途端、地面に叩きつけられる方が迷惑だ」

 申し訳なさそうにしている青年に少年は言った。
少年の目は王国を捉えたままだ。


「んな事より、さっさと行くぞ、エーク」

「…ああ」



 王国に向かって再び歩き出した二人の戦士。

 二人を待ち受けるのは平和な未来なのか、それとも残酷な終演なのか――










《続編へ続く》