王国へ向かうため、森の中を進むキルテたち。
 王国へ向かうにはまず、宿舎を取り囲む森と山を抜け、平野にでなければならない。


「…なぁ、王国にはどれくらいで着くんだ?」

 王国など行ったことも無いキルテはエークに尋ねる。

「一般人ならここから一週間、ってとこかな」

キルテの質問にエークは直ぐに答えた。

「じゃあ二日くらいで余裕で着くな」


 宿舎を発って結構経った。日ももう十分に昇って、いつもの様に鳥たちのさえずりが聴こえる。

「宿舎から出るのは久し振りだな」

 キルテより少し先を歩きながらエークが言った。

「討伐には行って無かったのか?」

「ずっと事務作業担当だったからさ、キルの足を引っ張りたくないし、ドラゴンとの戦いの前に肩慣らししておきたいとこだな」

 何故だか楽しそうにしているエーク。
その理由はキルテには、よく分からなかったが、キルテはさっきから気になっている事を訊くことにした。

「…そういえば、それ何なんだ?」