「……まだ、痛む…?」
あたしの目にまだうっすら残る涙を拭いながら、優しく微笑む耀太。
それに目を伏せながら「ん…」と答えて、部屋の変化にふと気づく。
「あ…れ…?いつの間にこんなに薄暗くなったの……?」
確かあたしがベッドに行った時は、テレビも電気も点けっぱなしになっていたはず。
でも今は、ベッドの上に灯る淡いライトだけ。
「ああ、ココで消した。
前みたいに電気で墓穴掘りたくなかったしな」
「もうっ……」
悪戯っぽく笑う耀太をぺしっと叩きつつ、言われた方に視線を向けると、そこにはボタンがたくさん並ぶサイドボードがあった。
「ここを押すと……」
そう言いながら耀太がボタンを操作する。
するとソファーの向こうのテレビが急に明るくなって驚いた。
ほぇぇ…、ラブホすげぇ…
……ん?
なんでこんなに耀太は詳しいの?
「これは空調だな…ははっ、当たっり〜」
まだ楽しそうにボタンを操ってる耀太の横顔を静かに見つめる。
はっは〜ん、そういうことね……
「な?全部ここで操作出来んだよ」
「へぇぇ……よくご存知で。
さすが大人は違いますわね」
得意げに振り返った耀太にあたしが嫌味たっぷりに微笑むと、耀太は明らかに焦り始めた。
「いやっ、ほらっ、こう見えて俺、理学部卒だし?」
………そんなの関係ないって。
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