「彼にその時、全部思ってること吐きだしたの。
そしたら彼も、『自分もカッコ付けてた、ゴメン』って謝ってくれて。
おかげで今もラブラブよ。
だから楓ちゃんも腹にため込まずにガンガン言わなきゃダメよ」





ポンっと背中を叩いてくれた麻美さんは、あたしとは逆を向いて「あのロリコン教師に」とそっと付け加えた。





見れば、道の向こうからのんびり耀太が歩いて来てるところで。





「プッ…… それは禁句ですよ」





あたしはたまらず噴き出してしまった。





「じゃあ、またね、楓ちゃん」


「えっ、もう行っちゃうんですか?」





まだまだいっぱい話聞きたかったのに。





「実を言うとね、そこの居酒屋であたしの送別会があってるの。主役があんまり席を外してるのは申し訳ないから」





手を振りながら歩いていく麻美さんの顔は、なぜかほんのり赤くなってて。




その左手には、キラキラ光る指輪が光ってて。






送別会……?



指輪……?





………まさかっ!?






はっとして声をかけようとした時には、





「頑張ってねーーー!バイバーイ!!」





麻美さんの体は居酒屋の暖簾をくぐって見えなくなったしまった。






代わりに、





「相変わらずアイツは騒がしい奴だな……」





あたしの“ロリコン教師”……
じゃないや、愛しい彼氏が戻ってきてくれたんだけど。





麻美さん、またいつか会いたいな……






なんだか切ないような、寂しいような、そんな気持ちになってしまった。






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