夜  話  

「………あなたは誰?」


本当なら、誰と問うより、何者かを問うべきだったのでしょうが、わたしの口は、勝手に言葉を紡いでいました。


そして、彼はわたしの問いに少し笑ったように見えました。


「オレに名を名乗れと言うなら、まず、お前が名乗るべきじゃないのか?」


そう言う声は、澄んだ夜風のように爽やかで、煌めく星達のようにきらきらと光を放っているかのごとく、わたしの耳には聞こえたのでした。


その魅力的な声に、わたしは何のためらいもなく、自分の名前を口にしていました。