夜  話  

そう、皎に問われて。


わたしは、あ、と口を押さえました。


空の雲の上に出れば雨は降ることはなく、いつだってそこは晴天であることは知識として知っているはずのわたしなのです。


「そうよね。
雲の上に向かって雨が降ったりすることはないのだもの。
貴方に………と言うよりも、他の人に指摘されるまで気付かないなんて、文筆にたずさわる者として恥ずかしい事だわ。」


額を押さえて、そう言ったわたしを皎はおかしそうに笑いました。


「知識でしか知らないのか?
俺はいつも実際にこの目で見ているからな。」