夜  話  

「わたし、泣いていたのね。」


そう笑いながら、言ったわたしの頬を、包むように両手をあて、皎は言いました。


「お前は、とらえすぎるんだ。俺の哀しみに、共感したんだろう?」


違う、と否定したくても、声も上げられず、皎から視線を離せないわたしには、その答えを訂正することは出来ませんでした。


「あなたの、お友達は?
どうなったの?その女の人は?」


泣いていた事を、それ以上追求されたくなくて、わたしは彼に尋ねました。


「幸福には、なれたの?」


彼の友人から、かけがえのないものを与えてもらった彼女は、どうなってしまったのでしょう?